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【コラム】カフェとわたし “cafe/day 狩野宏美”

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今回ご紹介するのは、沼津にあるcafe/dayのオーナー「狩野宏美」さん。今年で6年目となるお店への思いと、移転して2年目を迎える新店舗についてお話を聞かせていただきました。

 

【日常の、本当に普通の1日の中で、ちょっとだけカフェタイムを提供することで喜んでいただきたい。】

 

—お店のコンセプトを聞かせてもらえますか。

狩野:コンセプトですか。cafe/dayっていう名前はスラッシュが間に入っていて、分数になっているんですよ。スラッシュがポイントで、1日の中のカフェ時間という意味なんです。日常の、ごく普通な1日の中で、貴重なカフェの時間を提供することで少しでもよい1日を過ごしていただきたい、というのが大元のコンセプトです。

—狩野さんが、忙しい時間があまり得意じゃなかったりするんですか。

狩野:別に…そんなことはないですね。忙しい時間は嫌いじゃないですよ(笑)。ただここを始める前は、私は会社員だったのですけど、やっぱり時間にも縛りがあるし、日常に追われていろんなことを考える暇を持ちにくかったりして。カフェに行くのはその頃から好きで、友達と話したり、手帳をつけたり、自分の時間を取るっていうのが私にとってすごく大切な時間だったんです。それで、そういう時間を自分が提供するほうになりたいって思ってカフェを作ってしまいました(笑)。

—会社員時代は飲食関係のお仕事を?

狩野:いえいえ、全然。金融機関で5年ほど働いていました。会社を出た後にカフェを開きたい人が通う学校に通ったり、カフェで働いたり。学生の時は飲食店で4年間アルバイトをしていたので、昔の記憶を辿りながら一から勉強した感じですね。

—なるほど。こちらのお店は何年目になりますか。

狩野:ここに移転してから1年経って、その前に5年やっていたので、現在6年目ですね、2010年オープンなので。

—移転しようと思ったのはどうしてですか。

狩野:前のお店は有難いことに、だんだん手狭になってきて。駐車場が7台あったんですけど、休日などは満車で、次のお客さまが来てもご入店いただけない状況が続いていたんです。それで、お客さまからのご要望もあって、もう少し駐車場が広いところを考えるようになったんです。でも、自動車学校が前にあるというロケーションは気に入っていたので、あんまり遠くには行きたくなかった中で、現在の物件が空いたので思い切って移転しました。

—自動車学校が気に入っていたというのは…。

狩野:前のお店は自動車学校のモチーフをデザインに取り入れたりしていたんです。店舗の中に横断歩道が引いてあったりとか。わたしたちcafe/dayのテーマカラーの黄色も自動車学校の車がほら、黄色いから真似させていただいて黄色にしたんですよ。(cafe/dayの向かいには黄色い教習車が走る自動車学校がある)

−へぇー!

狩野:突出してお洒落なお店が、住宅街にドンとできても浮いちゃうというか…。街の風景に馴染むお店が作りたかったんです。この場所は自動車学校が目の前で、視界がパッと開けていて気持ちいいなぁって。なんかのんびりしてて気に入っているんですよ。お客さまにも “自動車学校の前の店”というのが定着していたし、遠くでお店を開き直すっていうのもなんか違うかなぁって。

—移転するまでにはどのくらいかかりました?

狩野:着工してからは2ヶ月くらいじゃないかな。

—早いですね。

狩野:そうですね。ただ、椅子や本棚などを作ったりなどはもっと前から、何日か時間を作ってみんなでやりました。

—カフェを続けながら?

狩野:そうです、向こうでやりながら。ワークショップという形で「移転のために一緒に作ってくれる方募集!」としたら、有難いことにお客さまが集まってくださって。スタッフとお客さまとで一緒に椅子を磨きまくったりしました。「出来る限り手作りで」というのもcafe/dayのテーマでもあるので。

—お客さんと、ですか?

狩野:そうです、照明器具とか本棚もお客さまと作ったんですよ。椅子は組み立てたわけじゃないんですけど、いろんな色合いだったものを削って同じ風合いにしたりとかして。デザイナーさんや、ここを設計してくれた建築家さんの指導を受けながらみんなで作りました。とても有難くて贅沢なワークショップでした!

—すごい!でもどうして一緒に作ろうと…。

狩野:よいお店ってお客さまと一緒に作るものだと思うんです。素敵なお客さまがあってこその、よいお店。ただ一方的にお店を提供するだけじゃなくて、お客さまも自発的にお気に入りの店を作ってもらえたら、より素敵なのではと思って、ワークショップを企画したんです。実際に参加してくださるお客さまがいて、本当に嬉しかったです。どの作品にも思い入れがあるし、宝物ですね。

 

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【シンプルなものでも、ちゃんと手作りでホッとしてもらいたい。気兼ねなく、気楽に、美味しいものを楽しんでもらいたい。】

 

—お客さんは幅広い年代の方が来られますか。

狩野:いろいろですね。生まれたての子から、おじいちゃんおばあちゃんまで来てくださっています。決まった年齢層だけが集まるよりは、色んな人が来て、そこで溶け合うようなお店が良かったので、実際そういう風に来てくださってすごく嬉しいです。みんながお互いにマナーさえ守れれば、それでいいんじゃないかなぁって思いますね。

—こちらのお店のメニューでお客さんに体験してもらいたいとか、味わってもらいたいものってありますか。

狩野:そうですね、うちのメニューはポークカレーとか、サンドイッチとか、シンプルなものが多いんです。見たこともないものを食べるってワクワクしますけど、知っているものを食べるって結構ホッとするじゃないですか。

—安心感というか。

狩野:そう。なんかこう、シンプルで馴染みのあるものを提供したい。私もわりとそういうのが好きなので。ただそのシンプルなものでも、ちゃんと手作りで手間がかかったものがいいんです。気兼ねなく、気楽に、美味しいものを楽しんでもらいたいなと思っています。

—それが自分たちのカラーというか、ここでしか味わえないものっていう。

狩野:そうですね。他で食べられるものをわざわざうちに来て食べる必要もないと思うんですよ。そういうのがなくっちゃここに来る理由もないし。美味しいものがあるっていうのはそこのお店に行くきっかけにもなるし。きっかけがあって、いい時間を過ごして、満足してもらえるように、私たちは毎日働いています。

 

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—出身は沼津ですか。

狩野:沼津出身です。

—なので、沼津でカフェを?

狩野:そうですね。土地勘がいちばんあるので。

—他の町では考えなかったですか。

狩野:検討したこともありましたが、今の物件との出会いが大きいですね。

—狩野さんが思う沼津の良さって何かありますか。

狩野:なんですかねぇ(笑)。海が近いし山が近いし富士山あるし、美味しいものも手に入りやすいし。そんなこと言ったらどこもそうかもしれないですけど(笑)。

—いやいやそんなことないです。他の場所で暮らした経験はありますか?

狩野:大学時代は東京にいて、社会人になってからも少しいたので、トータルで5年くらいだけ住んでいました。東京はすごくエキサイティングな町で、すごく賑やかで刺激的な町だけど、私にとってはこっちの方が自分らしくいられるというか、自然体でいられるというか、人に振り回されにくいというか。

—個性があるという感じですか。

狩野:うーん、都会って常に商業的で自分の意思に関係なくすごく何かに動かされているような気がして。こっちはそういう要素が少ない分、自分で動いたり輝いたりしないとダメっていうか。あれ…東京という街はいるだけで何かを纏えるんですよ。例えば、銀座を歩いてるだけで「銀座の雰囲気」を纏えるみたいな。だからこっちの方が、纏えるものが少ない分(笑)人間が素直に芯から輝ける気がする。自分が頑張らないと町も人も良くならない。そういうのでこっちが好きですね。

 

 

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【自分のお気に入りの、行きつけのお店があって、そこの人と知り合いで、美味しいものがある。それだけでその町が自慢できる。】

 

—素材にこだわりはありますか?

狩野:できる限り沼津周辺を感じさせるものを使いたいと思っています。例えば、釜揚げしらすのご飯とか、ちょっと遠くから来た人でも「この辺では釜あげしらすが新鮮なんだな」って楽しんでもらえるように。あと、うちのデザートは今のところパンケーキくらいしかないのですけれど、函南町の丹那から素材を特別に取り寄せて作っています。

—「地元を感じてもらえるように」という思いがありつつという感じですか。

狩野:そうですね。なんというか、みんなあんまり地元に自信がないんじゃないかなって思うことがあるんですよ。若い人は特にやっぱり都会に目が向きがちですよね。極端に言うと「この辺は、ダサいよね、田舎だよね、何にもないよね」といったような。そんなところを、地元愛じゃないですけど「いいよね」って感じてもらいたいというか、感じた方が幸せだと思うんですよね。

ー確かに。

お気に入りのお店があるとその町が好きになるというか、そういうことを体感してほしいというか。私自身もその町がいいなって思う要素は、いいお店があるという事なので。自分のお気に入りの、行きつけのお店があって、そこの人との会話があって、美味しいものがある。それだけでその町が自慢できる気がする。他から知人が来ても「よし、あそこに連れてってあげよう」と。自分の町が自慢になると、なんだか自分にも自信が湧くし、町と自分って繋がってると思うんですよね。私たちのお店もそんな風に役に立ちたいなとも思っています。いいお店を作ることでいい思いをしてほしい。そんな思いもあってか、地元のものはなるべく使うようにしてます。

—何かお客さんに対して良さをアピールするようなことはしてないですか。

狩野:良さ、この地元の良さをですか。

—そうですね。お店も含めて。

狩野:もちろん地元産の釜揚げしらすや、バターミルクのアピールも大事にしています。ただ、それよりももっと大事に思うのは、とにかくお客さまがここに来て、いい時間を過ごしていただくこと。ほんとにそれに集約されるし、一番注力しています。何の食材をアピールしようと、お客さまが気持ちよく過ごして帰ってくださる事が大事で、それができなければ、釜揚げしらすも、バターミルクも全部無駄になっちゃうと思っています。お店の心地よさがあって、少しずつ地元の良さを自然に感じてもらえたらいいなと思います。

—狩野さんにとっての「いい時間」とはどんな時間ですか。

狩野:いい時間…そうですね。ストレスがない時間じゃないですか。そもそもお店に行くって結構ストレスですよね?とくに初めてのお店って、入るだけで緊張したりするし。入って、店員さんが気づいてくれるかな、といった挨拶から始まって。メニューがきて、注文をしたいけど店員さん気づいてくれるかな…ってまたストレスが生まれるじゃないですか(笑)。お水ほしいなぁっていうストレスとか。お店にいる時間の中で、何個もストレスがあると思うんですよ。そのお客さまのストレスをなくしたい。

—すごい難しいことだと思うんですが…

狩野:はい。でも、お客さまにとってはそれが心地よい状態だと思うんです。いい時間を過ごして帰ってもらうために「お客さまのストレスフリーな時間をつくる」。それが、私たちが徹底して取り組んでいることなんです。カフェとして当たり前のことをまずやる。それをとにかくみんなで毎日トライしている感じです。

—移転して1年ですけど、今後どんな風にお店を作っていきたいですか。

狩野:そうですね。もう少し、人と人が結びつくようなアクションを、少しづつ起こしていけたらと思っています。例えばワークショップをやったり、トークセッションをやったり。食事を提供するだけでなく、良い日になるきっかけを提供して、街のカフェとして、皆さんのお役にたてるような活動をしていけたらいいなと思います。あとは、今以上に地域に根ざした店になれば幸せです。メニューももうちょっと増やしたいですね。

 

【店舗情報】

cafe/day
場所:静岡県沼津市沼北町1丁目14-26
営業時間:
【火〜金】11:00〜17:00 *L.O 16:30 / 18:00〜22:00 *L.O 21:30
【土】11:00〜22:00 *L.O 21:30
【日・祝】11:00〜17:00 *L.O 16:30
定休日:月曜・第3火曜
HP: http://www.cafeday.jp/
FB: https://www.facebook.com/cafeday-210099825699561/
問:055-922-3910