現代の静岡問題~人口低下~
ブラジル人居住者全国トップの浜松市
全国でも外国人の数、それもブラジル人の数が非常に多い、静岡県は浜松市。
およそ2万人のブラジル人が生活しており、約4人に1人はブラジル人というほどであるから驚きだ。
そのためか、ブラジル銀行の浜松出張所や、ブラジル総領事館なども浜松に置かれている。こんなにもブラジル人居住者、或いは労働者が多いのには理由がある。
日本有数のモノづくりの場
それは浜松市が日本有数の工業地帯であるからだ。昔から静岡県は東は観光都市、西はモノづくりの都市として栄えてきた。
事実、ヤマハやスズキは浜松で産声を上げた企業であり、今日まで多くのブラジル人労働者を受け入れてきた。
ブラジル人の減少
しかし驚く無かれ、ブラジル人の数は減少の一途を辿っているのだ。私達は先入観のためか、未だにブラジル人の数が増加していると思い込んでいる。
実はブラジル人の雇用状態の悪化、または減少が始まったのは2008年の世界的大恐慌の発端、リーマンショックからだという。年2千人ものブラジル人が日本に帰り、浜松の総人口の1%の減少につながっているのだという。
そもそも浜松へのブラジル人労働者の流入は1980年代から進められた。浜松市はモノづくりが盛んであり、安価な人件費で労働力を確保できたので、多くの会社が受け入れた。また、労働需給のミスマッチ改善などを緩和するためブラジル人労働者はその受け口として利用された。
しかし不安定な雇用形態で働いていたため失業のリスクは日本人に比べはるかに高く、またブラジル経済の急速な発展により、ブラジル国内での景気の回復から言葉や文化を学ばなくてはいけない日本への出稼ぎの意欲は薄れてきているという。
さらに震災や原発事故の影響で流出へ拍車がかかった。
現状と課題
それでもブラジル人が日本にいる理由は、浜松の人や静岡県の文化や風土が好きだから、というわけではなく、ブラジルに比べ手厚い、生活保護や雇用保険などの社会保障制度が要因である。
社会保障は国の制度。何とかしてブラジル人の入出を防ぐ手立て、魅力が無いかと模索する浜松市。はたして静岡県の魅力は何なのだろうか。この問題は浜松市だけの問題ではなく、同じ静岡県に住むものとして、静岡を盛り上げる起爆剤を考える必要がある。
駐日ブラジル大使館