育て!問題発見力。【静岡北中学校】
あなたに中学生のお子さんがいた場合、どんな学校生活を送ってもらいたいですか?
真面目に勉強に励んでほしい、部活動に一生懸命取り組んでほしい、友達をたくさん作ってほしい……。様々な答えがあるかと思います。
とはいえ、それらを通して共通する願いがありますよね。
「やっぱり、毎日を楽しく過ごせるというのが一番ですよね」
というのは、静岡市葵区瀬名にある『静岡北中学校』副校長の青島さん。静岡北中学校は、文部科学省からSSH(スーパーサイエンスハイスクール)の指定を静岡北高校と中高一貫で受けたことで知られている中学校です。
今回は、私立学校として公立とは一味違う、フレキシブルで魅力的な特色を打ち出している北中の教育、そして学校生活をご紹介します。
冒頭の青島さんとの会話にもありましたが、現在お子さんがいらっしゃる方もまだこれからという方も、将来お子さんが中学生になったなら楽しい学校生活を送ってほしいというのが本音かと思います。毎日を楽しく過ごした上で、勉学や部活動に励んでくれれば、というのはおそらく全ての親御さんが願っていることでしょう。
とはいえ、「楽しい」という気持ちは直接目には見えない、触れて確かめることのできないもの。一体どの学校に通えば楽しさに繋がるのか、というのは「絶対」のない選択ですよね。
みんなが行くから、という理由で公立校へと進学する場合が多いのではありませんか?
「静岡は公立志向が強いんですよ。」
というのは青島さんの言葉。確かに我々取材班も公立校出身者ばかりです。
高校ならまだしも、中学校への進学で私立を選択するのは少数派と言わざるを得ません。本当にお子さんのためになるのかを入学前に判断するのは難しいことや金銭的な負担などを考えれば当然のことかもしれません。
しかし、私学には私学にしかできないことがあります。パンフレットや公式サイトだけではわからない、静岡北中学校での「本当の学校生活」に迫ってみましょう。
【生きていくためのチカラを手に入れる教育】
元は静岡県自動車工業高校として開学した静岡北高等学校に進学していく中高一貫教育、それを行う私立中学校として静岡北中がスタートしたのは今から7年前のこと。公式サイトに「育て!問題発見力」というコピーが掲げられている通り、北中、北高に通う6年間で行われているのは、生徒たちが「発見力」を育て「解決力」を身につけるための教育。
しかし、「発見力」そして「解決力」とは一体どういった力のことなのでしょうか。
青島さんによれば、「発見力」とは
「大人の世界と変わらない、問題点を見つける力」
のこと。そしてその問題を解決するための力が「解決力」なのです。
と、こう書くと簡単なことのように思えますよね。しかし、実のところそれこそ言うが易しことなんです。
問題点を見つけ、それを適切に解決するためにはロジック(論理的な思考)が必要不可欠ですが、ロジックはトレーニングすることが非常に難しく、一朝一夕で身につけられるものではありません。実際に、それができない大人も世の中には多数存在するのが現状です。
例えば、みんながそうだからそうする、といったノリの中で動いてしまうということは、多くの方が身に覚えがあることではありませんか?
論理的な思考、というのは科学的に筋道を立てて考えることと言い換えることができます。北中では、SSHに指定された北高へと繋げるためのSSZ(サイエンス・スタディ・ゼロ)という独自の教育プログラムを行っており、その中心に「科学」を置いています。
自分自身で課題を発見し、それを解決する。そのために行われる授業は、黒板の前に先生が立ち、並べられた机でその話を聞く、といった所謂「一斉授業」のイメージとは違っているかもしれません。
1枚の写真についてみんなで話し合う授業もあれば、大学などの研究機関へ行って受けるものもあります。
中でも、CASEプログラムと呼ばれるものは全国でも5〜6校ほどしか取り入れていないというユニークな授業です。数学的分野から15個、理科的分野から15個、計30個のテーマが与えられ、それについて「なぜそうなるのか?」を生徒さんでグループを作り考えます。その際、先生は答えを出しません。
例えば、たくさんの動物のイラストを与えられ、それに描かれた動物を分類するというケース。グループ内で話し合いながら分類を考えていきます。「空を飛ぶもの、飛ばないもの」、「草食のもの、肉食のもの」、「哺乳類、爬虫類」など、たくさんの分類方法が考えられますよね。
それぞれの案を「答え」として提出するには、グループ内で話し合わなくてはいけません。「哺乳類、爬虫類」といった分類をしようと考えたなら、グループメンバーを納得させることが必要です。メンバーに「哺乳類って何?」と聞かれたら、その説明をすることになります。
このプログラムは、「なぜ」という課題を探し、解決法を考えることだけでなく、現在世間で求められる「コミュニケーション能力」にも繋がっていきます。
その際に、生徒さんたちの見つけた答えを先生が否定することはありません。これは、自由な「発想力」を培うことにも一役買っているのです。
他にも、北中には他ではないプログラムが存在します。その代表とも言えるのが、麻機遊水地や巴川に生息するカメの生態調査をはじめとする「環境調査」です。
ミシシッピアカミミガメというカメは、本来ならば日本の自然には生息していないはずの外来種。しかし、近年、麻機遊水地や巴川ではこの種のカメがたくさん生息しています。
元々はペットとして飼われていたカメがなんらかの理由で住み着き、繁殖しているのでは?
そんな疑問を解決するため、なんと1年で100匹以上のカメを捕まえ、データを取り続けています。
捕まえたミシシッピアカミミガメは解剖し、食性や繁殖の状態を知るための手掛かりとするのだそう。
この課題に北中生が取り組み、今年で7年目。最近は、ミシシッピアカミミガメの捕獲割合より、在来種であるクサガメの方が割合が高くなりました。それはどういった理由によるものなのでしょうか?
この活動によって得られるデータは、更なる疑問、そして解決というプロセスへと繋がっていくのです。
また、こうした活動を実際に行うことでわかることも多いのだとか。
みなさんはカメが走っているところを見たことはありますか?ウサギとカメの童話にもあるように、あまりすばしこいイメージのないカメ。しかし、
「実際には非常に速いんですよ」
と青島さんは言います。
北中では、捕獲したカメを数匹飼育しています。以前、そのカメが水槽から脱走したことがあるのだそうです。
その際に捕獲しようと追いかけたのだそうですが、走るカメは思いの外素早くて、連れ戻すのに大変骨が折れたと笑いながら話してくれました。
確かに、これは実際にカメと触れ合ったからこそわかることですね。
また、カメの生態調査というひとつのテーマでも感じることは一人ひとり違っています。
巴川で捕獲し、解剖したミシシッピアカミミガメが卵を抱いていた場合、それをインキュベーター(孵化器)へ入れて孵化させています。
孵化の瞬間、子ガメたちはコツコツと卵の殻を内側から少しずつ割り破り、やっとの思いで小さな顔を覗かせます。その姿に感動を覚える生徒さんもいるのです。
その生徒さんにとって、カメの調査は感動的な経験として記憶に残ることでしょう。
これは、他では味わうことのできない体験ですよね。
ロジックを身につけても、それを充分に伝えることができなくては実社会ではうまくいかない、そんな風に思う方もいらっしゃるかもしれません。
そこも抜かりありません。北中では、自分の考えを伝えるためのトレーニングも行っています。
先ほどのCASEプログラムにおけるコミュニケーションは一例にすぎません。
「この絵を説明してください」
青島さんは、おもむろに壁に掛けてある絵画を指し示しました。取材班一同、恥ずかしながら言葉に詰まってしまいます。
「うちの生徒なら、≪花瓶に○本の花が差してあります、花の色は○色です。背景の色は○色で、塗り方は……≫といった風に、客観的に絵を分析すると思います」
なるほどと納得させられました。確かに、そのような説明を受ければ、絵画に描かれた情景、情報を言葉で受け取ることができます。
絵画をはじめとする芸術というのは、得てして主観的な評価をされがちなもの。それを、客観的に捉えて言葉として伝える、というのはなかなか難しいことです。
北中ではそういったことのできる思考、視点の獲得、そして言葉での表現をするための力を養うトレーニングが行われているのです。
授業における発表、プレゼンテーションの機会も多いのが北中の特徴のひとつ。
北中は北高へと続く中高一貫教育の学校。中学、高校が区切られる公立とは異なり、早いうちから「やりたいこと」、自分の目標へと向かってまっすぐに進んでいくことができます。
北中の進路指導は「将来何をやりたいの?」というところからスタートします。
そして、生徒さん一人ひとりの「やりたいこと」のできる進路を絞り込み、6年掛けてそれをサポートしてくれるのです。
また、やりたいことをまだ見つけていないというお子さんも、中学生のうちから様々な分野に触れる教育プログラムによって、他の学校に通う生徒さんよりも早い段階で自分の目標を定めていきます。先ほど挙げたカメの研究をはじめ、部活動などで北高の高校生と接点を持つことができるというのも将来像を描く助けになります。
目標に向かって、早いうちからスタートを切ることができるというのは北中の強みです。
取材班は青島さんに校舎内を案内してもらいながら、授業風景を見学させてもらいました。
まず目に付いたのは、校舎内に掲示された「新聞」。
廊下や踊り場の壁にズラリと並んだ新聞は、全て生徒さんがテーマに沿って作ったもの。中には、一応表現のプロである我々が魅入ってしまうような掲示物も……。
北中では、この新聞のように生徒さん自身が文章を書く機会が非常に多いのだそうです。
そうして完成した文章は毎回掲示され、多くの人の目に触れることになります。これは、先ほども述べた表現力を培うのに絶好な環境と言えますね。
さて、肝心の授業風景へと参りましょう。
我々が案内されたのは、外国語の授業を行う「英語教室」。
北中の英語の授業では、極力日本語は使いません。ネイティブに近い先生が、T.T.(チーム・ティーチング)で授業を行います。
また、教室の前方には黒板だけでなく、パソコンに繋げられたプロジェクターとスクリーンが。このシステムを使用して、YouTubeなどを流しながら英語の歌を歌うのだそう。
私たちが中学生の頃、英語の授業でカーペンターズなどの曲を歌ったことはあったかと思われますが、プロジェクターでYouTubeというのはなんともイマドキを感じますね。
また、教室の隅には英語雑誌が並んでおり、生徒さんたちの英語への興味を掻き立てる工夫がなされています。
また、3年生になると英語でのプレゼンテーションも授業に取り入れられています。英語の読みに偏重していると言われる日本の英語教育において、実際に英語で原稿を作り、プレゼンテーションをするというのは現在、そして今後も求められるスキルです。
北中で目指す「社会に貢献する人材の育成」は、英語教育にも取り入れられているのです。
いかがでしたでしょうか。
学校生活、そしてそこから繋がる将来の「楽しさ」をどこに感じるのかというのは確かに千差万別です。
しかし、毎日の生活の中での張り合い、今やっていることが未来を作っていく、という確信は誰にとっても「楽しい」と感じられる要素ではないでしょうか。
また、お子さんの将来に役立つ能力を中学生のうちから培うことができるというのは大きな魅力ですよね。
北中の公式サイト、パンフレット、そして見学では、今回紹介しきれなかった北中の特色を知ることができます。北中に興味を持った、という方はぜひそちらをご覧になってみてください。
【静岡北中学校学校説明会のご案内】
2016年6月25日(土)学校説明会開催
お申し込みはこちらから
2016年7月16日(土)学校説明会・親子クッキングサイエンス開催
【静岡北中学校詳細】
所在地:〒420-0911 静岡市葵区瀬名五丁目14番1号
TEL:054-267-6151(代)
FAX. 054-267-6150
公式HP:http://shizukita.jp/