静岡県民も知らない地名のルーツ。『日和山・狩野川』
敷地面積が非常に大きく、政令指定都市が2箇所もある静岡県は、四方八方沢山の地域に地名が存在し、県民の多くは自分が住んでいる場所以外の地名は分からないといった人が極めて多いです。
難読なものや、ルーツや由来が変わっていたり、間違って認識していたりと。
さて、そこで県民も知らないような変わったルーツを持つ地名をご紹介します。
今回取り上げるのは、『日和山・狩野川』です。
《日和山》
日和山という山は全国におよそ80ヶ所余り存在しています。
静岡県にも伊豆半島にこの「日和山」という地名が多く見られ、例えば、西伊豆町の田子、松崎町の岩地、南伊豆町の子浦、下田市の柿崎、熱海の網代にあるのがそれぞれ日和山と言われています。
日和山と言われるようになったのは比較的近年で、江戸時代になってからの事のようです。
その頃「千石船」と呼ばれる大型の帆船が造られ始め、船による物資の輸送が盛んになってきたようです。
船が進むためには風向きや天気を充分に確認しておかなければそれが命にも直結するので何より大切でした。
「日和山」とは今で言う天気予報をするに適した山であり、乗組員は空を見てそれを感じていたようです。
そのため各地に点在する日和山でも、簡単に上まで行けるよう標高は100メートルほど、港からほど近く、東西南北の視界が良い、外海と湾内の展望が同時に行える、などの共通点があったようです。
《狩野川》
伊豆市の天城山に源流を築き伊豆半島のほぼ中央を北へ流れ沼津市で駿河湾へと降り注ぐ、1級河川の狩野川。
狩野川の流域には豊かな自然環境が現在まで伝承されており、昔から、「ふるさとの川」として県民に親しまれています。
狩野川の名前である「カノ」のルーツを辿るのは中々困難ですが、一説によると、応神天皇が伊豆国に命じて船を造らせた所、海に軽く浮かんで進むことから船の名を「軽野」といい、後に転じて「枯野」となりそれが更に転化して「狩野」になったようです。
また、海や川に浮かべる小さな船を「カヌー」と言いますが、カヌーの語源は西インド諸島の住民が用いていた丸木船「カノア」にあると云います。
「カノア」とは「先のとがった」という意味を持つ言葉で、このことは記録に残されています。
最古のカヌーは今から6000年もの前に造られたといいますので、狩野川の「カノ」は「カノア」と関連性があるのではないかという説も浮上しています。
以上が静岡県の変わったルーツを持つ地名とその由来です。
自分の知らなかった場所かもしれませんが、その由来を知ると中々楽しかったり興味が湧いてくるかもしれません。
どれも静岡県内であるため、ルーツ巡りや観光などにも適しているかもしれません。
是非とも行かれてみてはどうでしょうか。
参考文献
日本地名の会 著
静岡県民も知らない地名の謎